外国株の配当金にかかる「二重課税」と確定申告の注意点【2024年以降の変更点】

投資・NISA入門
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投資に慣れてくると、米国株や海外ETFに興味を持つ方も多いですよね。
SNS(Xなど)で投資関連の投稿を見ていると、配当金や銘柄の話題はよく見かけますが、
「外国税額控除(二重課税調整制度)」について触れている人は意外と少ない印象です。
特定口座(源泉徴収あり)で取引している方は、知らずに「本来は戻るはずの税金」をそのままにしている人もいるかもしれません。
この記事では基本的に米国株の二重課税を例に説明します。

NISAのみで運用している方は二重課税の心配はありませんが、仕組みについて参考になる部分もあるかもしれないので、よかったら読んでみてください。

「二重課税」と「二重課税調整制度」とは?

外国株式や海外ETFで得た配当金・分配金には、次のように2段階で税金がかかります。

  • 外国(米国など)で課税 → 米国の場合 約10%(日米租税条約による)
  • 日本でも課税 → 約20.315%(所得税+住民税)

つまり、同じ所得に対して2回課税される。これが「二重課税」です。
この重複を解消するために、日本では「外国税額控除(正式名称:二重課税調整制度)」が設けられています。
特定口座(源泉徴収あり)で取引している方は、確定申告で「海外で払った税金を日本の税金から差し引く」ことで、二重課税を調整できる仕組みです。

注意
この二重課税調整制度は自動で適用されません。
外国株や海外ETFを保有して配当を受け取っている方は、自分で確定申告をしない限り税金は戻ってきません。

NISA口座で外国株を運用している場合は?

NISAの場合、日本国内での税金はかかりませんが、米国内での源泉徴収(10%)は通常通り発生します。
「日本で課税されていない(=二重になっていない)」ため、外国税額控除(二重課税調整制度)は利用できません。
よって、配当金・分配金にかかる米国で引かれた10%分は戻ってきません。

人気のインデックスファンドなら基本的に心配無用!

日本の皆さんが候補にするような人気の投資信託はほとんどすべて外国所得税の二重課税が生じないようになっています。(新NISAの「つみたて投資枠」で買えるような商品は、基本的にすべてこのタイプです)

このブログで以前から名前を出してきた以下のインデックスファンドも、二重課税の調整がファンド内で自動処理されています

  • eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
  • eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
  • SBI・V・S&P500インデックス・ファンド

これらのファンドでは、運用会社が海外株から受け取る配当金について、内部で「外国税額控除」の手続きを行う仕組み(信託報酬に含まれる運用管理業務の一部)を採用しています。
そのため、NISAや特定口座(源泉徴収あり)で取引している限り、自分で確定申告をする必要はありません。安心して長期投資を続けて大丈夫です。

2020年1月1日の税制改正について

国内籍投資信託(日本の法令に基づき国内で設定・運用される投資信託)は、 2020年1月1日の税制改正によって、投資信託を経由して支払った外国所得税の二重課税が生じないようになっています。
eMAXIS Slimシリーズ(運用会社:三菱UFJアセットマネジメント株式会社)や
SBI・Vシリーズ(運用会社:SBIアセットマネジメント株式会社)も国内籍投資信託です。

外国株・海外ETFを「直接」取引する場合は要注意

一方で、インデックスファンドなどの投資信託ではなく、
米国株などを直接購入して配当を受け取る場合は、次のように課税されます。

  • 米国で約10%(日米租税条約による源泉徴収)
  • 日本で約20.315%(所得税+住民税)

実際には、米国で引かれた後の金額に日本の税金がかかるため、合計負担は約28.3%となります。

100(配当) – 10(米国税10%)= 90
90 × 20.315% = 18.28(日本税)
10 + 18.28 = 28.28 (実質負担 約28.3%)

米国で源泉徴収された分(約10%)は、確定申告で「外国税額控除」を行えば、日本の税金から差し引けるため、最終的な税負担は20%台前半まで軽減される可能性があります。
(※外国税額控除で差し引ける金額は所得や税額によって異なり、所得税額の範囲内でしか控除できないため、全額が戻らない、あるいは還付が受けられないこともあります)

また、米国ETF(VOO、VTIなど)の配当金を受け取る場合も、同じ仕組みで二重課税が発生します。

※ETFとは?
ETFとは「上場投資信託」のことで、中身は投資信託ですが、株と同じようにリアルタイムで売買できるのが特徴です(VOO、VTIなど)。

補足:外国株を売却して得た「譲渡益(売却益)」について

外国株を売却して得た「譲渡益(売却益)」については、米国では課税されません。
米国で課税されるのは配当金のみで、譲渡益は日本の課税対象(約20.315%)になります。
そのため、二重課税の心配があるのは「配当金」の場合だけです。

確定申告で思わぬ損をしないための注意点(2024年以降の変更点)

確定申告はe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使えば意外と簡単です。
源泉徴収票や証券口座から発行できる特定口座年間取引報告書を見ながら必要な箇所を入力すると、自動的に最終的な還付額が計算されます。
実際に「あなたの還付金は〇〇円です」と表示されたとき、「やってよかった」と感じるはずです。
ただし、損をしないための注意点があります。

その注意点について、会社員と国保加入者等に分けて表にまとめました。
視覚的にわかりやすいと思うので、よければ参考にしてください。
株の確定申告:課税方式ごとの比較表(2024年以降対応)

注意点とは、還付金よりも翌年の社会保険料などが高くなる場合があることです。
1円でも取り戻そうとして知らないまま確定申告をすると、その利益が「所得」としてカウントされてしまうので必ず確認するようにしてください。(特に、家族の扶養に入っている方や、国民健康保険に加入している方は要注意です)

確定申告時の注意点

  • 特定口座(源泉徴収あり)の場合、原則として確定申告は不要です。しかし、あえて申告することもできます。
  • 確定申告を行い、所得金額が増えると、翌年の国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料・高額療養費の自己負担上限・配偶者(扶養)控除の適用などの判定に影響する可能性があります。
  • 外国税額控除配当控除で戻ってくる金額よりも、社会保険料の増額分が大きい場合は、あえて確定申告をせずに「源泉徴収のみ(申告不要)」で完結させた方が有利なケースもあります。

また、下記【2024年(令和5年分)以降の変更点】にも注意してください、申告ルールが一部変わています。

【2024年(令和5年分)以降の変更点】

2024年から、所得税と住民税の「申告ルール」が統一されました。
以前は、投資の利益について「所得税は確定申告し、住民税は申告不要にする」といった使い分けが可能でしたが、
2024年からは所得税の申告内容が自動的に住民税へ反映される仕組みに変更されています。

そのため、確定申告を行うと、自動的に住民税の課税所得も増えます。
結果として、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料・介護保険料・高額療養費の自己負担上限・配偶者(扶養)控除の対象などの所得基準が上昇する可能性があります。

なお、「総合課税」ではなく「申告分離課税」を選んでも所得増とみなされる点には注意してください。(筆者は字面から勘違いしそうになりました)

投資の利益を確定申告するということは、それだけで「合計所得金額」を押し上げることになります。2024年以降は、還付金よりも社会保険料などの増額分が大きくならないか、より慎重な確認が必要です。

まとめ:投資スタイルに合わせて賢く立ち回ろう

  • 二重課税とは:海外と日本で同じ利益に2回課税される仕組み。
  • インデックスファンド:内部で自動的に調整されるため、二重課税は基本的に心配不要。
  • 外国株・ETFを直接保有:確定申告をしないと、払いすぎた税金が戻らない。
  • 確定申告をすると社会保険料が上がって逆に損をすることがあるので注意。

「投資信託での積立」が中心の方は、今のままで問題ありません。ただし、将来「米国株を個別に買ってみたい」「海外ETFにも挑戦したい」と思ったときは、この二重課税の仕組みと控除制度を思い出してください。少し知っているだけで、手元に残るお金が確実に変わります。

参考サイト

関連記事:株の確定申告:課税方式ごとの比較表(2024年以降対応)

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